


仕組みに必要不可欠なノウハウコミュニケーション®とは 前編
- 仕組みについてあれこれ
- 書籍紹介と実践解説
知識、技術など経験から培ってきた様々なノウハウを他者に伝えるということは、なかなか簡単なことではないですよね。 ここでは、他者とノウハウを共有する「ノウハウコミュニケーション®」について2回に分けて解説していきます。今回の大切なポイントは以下です。
理解を深める3つのステップ
ノウハウを明文化することの大切さ
「背中を見て学ぶ」にはリスクがある
私にも経験がありますが、見て覚えろ、感じろ、わからなければ聞け。。。わからないというと怒られるという。。。こういう教育はなかなか精神力が求められます。できるようになるまで時間もかかるし。
あの人はすぐできたのにとか言われた日には。。。(うん、そうです、愚痴です笑)

こういった教育が全部間違いだとは言わないですが、リスクを伴うのは確かです。
それは、全てを受け取る側の解釈に委ねているため、人によって受け取り方も違い、習熟スピードもバラバラ。
なので人によってやり方や考え方も変わってしまい、個人差が生まれてしまうことにもなります。これでは結果の品質が担保できないため、管理者としては「結果責任」の放棄とも言えます。
永続的な価値の提供を実現するためには、属人的な状態は組織として大きなリスクを抱えているということを認識しましょう。
本当の意味での「理解」とは
下図は学んで理解を深めるためのステップを表したものです。

ステップ1 「知る」
本を読んだり、YouTubeで勉強したり、セミナーに参加したり、それが最初の「知る」というステップです。
ここは大丈夫ですね。
ステップ2 「できる」
問題は次の「できる」のステップです。
「できる」のステップを飛ばして次の「伝える」のステップに移行してしまうのを多く見受けられます。
そして最も多いのが、「できる」のステップでいきなり自己流のやり方でやってしまうということ。
せっかく学んだことが、身にならないため結局遠回りすることになります。早く実践で使いたい気持ちはわかりますが落ち着いて!自己流でやるのはまだ早い。
ここの「できる」というのは、まずは学んだことを学んだ通りにできるようになる。つまり基礎を固めるということが大切です。先人の経験を踏まえた最適解のノウハウなのですから、学んだ通りに実践すればいいのです。簡単です。
そして、学んだ通りにできるようになったら、実際の仕事にあわせて少し改変して使ってみたり、もしくは別の知識を足したりして、ちょっと工夫をしてみましょう。
自己流でやるのはこのあとです。すべての経験や知識をフル活用して学んだことを自己流に昇華させる。

例えば、料理も経験上いきなり自己流で作ると大概は失敗します。まずはレシピ通りに作ってみて、上手に作れるようになったらアレンジしてみたりして、最終的にはオリジナルレシピが作れるようになります。料理番組をみたことがあるだけの料理未経験者が、冷蔵庫の残り物で美味しいごはんがつくれちゃう。なんてちょっと想像できませんよね。
「できる」のステップでは「守破離」の精神で取り組みましょう!
ステップ3 「伝える」
そして、最終ステップの「伝える」。
人に伝えることができるようになって初めて理解をしたと言っても過言ではありません。
人に伝えるというのは本当に難しい。100伝えたとしても、良くて30。10伝わればよしとするくらい。それくらい伝えるということは簡単ではありません。
伝える時に私が意識している代表的なことは
- 専門用語を多用せず簡単な言葉を使う
- 事例や自身の経験を交える
- 相手のペースを考慮しながら、かつゆっくり話す
- 相手の反応を促す
これだけでも「できる」のステップをこなさないと伝わる伝え方ができないことがわかると思います。
本に書かれていること、セミナーで聞いたことをそのまま伝えても、それは自分の言葉ではないので全く伝わりません。実践を踏まえた自分の言葉で伝えてはじめて相手に伝わるものです。
そして伝えるというステップで次に大切なことは、伝えることで新たな知識や疑問を得ることができたり、理解が甘い部分に気づけることで自身の理解のアップデートの機会を得る、「知る」ことができるという点です。そして、最初の「知る」のステップに戻ることで、この3つのステップのサイクルを何度も回し理解を深めていきます。

人を教育する立場にある方は、この環境を整えることも大切な役割です。
後回しにしてはいけないノウハウの明文化
重要なこととはわかっているけど、売り上げや成績に関わる目の前の仕事をこなすことのほうが緊急性が高いため後回しにされがちです。
つまりノウハウの明文化は重要だけれども緊急性が低いのです。よってその作業にかけられる時間は限られるので、空いた時間でコツコツとやることが求められます。
難しい、できないは言い訳
自分の仕事は特殊だから。
経験が求められるので、マニュアル化することができない。
そうです間違いありません。万人ができない仕事だからこそ価値のある仕事なのです。
では、その仕事どうやって身につけたんですか?
どうやって学んだんでしょうか?
身につけたプロセス、学びのプロセスをだどり明文化しましょう。その経験をした人だから表現できるポイントもあるはずです。それこそが後世に残し伝えるべきことかもしれません。
一人でやらずに同じように経験してきた仲間と一緒に取り組みましょう。

一回で完成させようなんて思わないでください。
そんなこと不可能です。
作ったら誰かに見てもらう。そして直す。そしてまた見てもらう。そして直す。
時間かけていいんです。アドバイスをもらいながら形にしていきましょう。
あなたのその価値ある行動は、組織の新たな資産を作り上げることになります。
自身のノウハウを明文化するということは、自身の理解を深めることにつながる
ノウハウの明文化は理解の3ステップでもお話ししたように3ステップ目の「伝える」に該当します。
明文化は自身のノウハウの理解を深めることにもつながるため、この作業を通してノウハウ改善も同時に行われます。
同じ仕事をしている仲間や教育対象の部下と一緒に明文化を行えば一緒に理解を深めることにつながるし、思いもよらない工夫を見つけるなんてこともあり、結果的にグループのノウハウが最適化され効率アップされることもあります。

そしてなんと言っても1番のメリットは、理解を深めたあなた自身の仕事の質と効率がアップするということです。
いいことだらけなんです。
私自身、明文化を行って悩むことがなくなり、以前は2日以上かかっていた仕事が10時間程度で完了するようになりました。スタッフの仕事のチェックもしやすいし、指示もしやすい。まさにいいことだらけ。
費やした2年は必要な投資だったと思っています。
どうです?やってみる価値ありませんか?
さぁ、今すぐにでも取りかかる決意をしましょう!